ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。国内最高齢の28歳でした。
【写真】パンダのタンタンと過ごした、すばらしい日々 いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様の日常を2020年から綴ってきた、二木繁美さんによる本連載『水曜日のお嬢様』の書籍版『水曜日のお嬢様 タンタンのゆるゆるライフ』2024年9月5日発売)の刊行を記念して、とくに好評いただいた記事のリバイバル掲載を5日連続でお届けします!
先日、公式ツイッターに、桜とタンタンの写真がアップされていました。タンタンがいる神戸市立王子動物園は、桜の名所でもあります。パンダ館の近くにも桜の木があり、屋外展示場では毎年、お花見をしているようなタンタンに出会うことができました。
いまは心臓疾患のため、温度が安定した屋内展示場で過ごしているタンタン。今年も外で桜を見ることはできるのでしょうか。
「タンタンを外に出すかどうかは、体調や気候を踏まえて検討する予定です」と、飼育員の梅元良次さん。心臓疾患が見つかる以前は、気温26度以下を目安に、外へ出していたそうです。
気候が良い休園日には、屋外展示場へつながる通路で、ひなたぼっこを楽しんでいるというタンタン。「これからも、お天気と体調が良いときは、こういう風に外の空気を感じたり、陽の光を浴びたりしてもらう予定にしています」と、梅元さん。
屋外展示場の入り口は、日光や外気を取り入れられるように、鉄板から格子の扉に変わっています。暖かい日も増えてきましたが、お嬢様も春の足音を感じているのでしょうか。
春と言えば桃の節句。3月3日の観覧終了後には、ひな祭りのごちそうがプレゼントされました。
ごちそうを用意したのは、お嬢様のパティシエ・吉田憲一さん。ごちそうの内容は、当日に決めたのだそうです。ニンジンとブドウで作った男雛と女雛に、園内で採ってきた梅の花を添えて。竹の器には甘酒に見立てたドリンク付きです。
観覧終了後、ごちそうが用意された室内展示場に登場したタンタン。体重計に向かい、ニオイを嗅いで、まずはドリンクをひとくち。前あしで、ごちそうをつつきながら、どれにしようか迷っているようです。
思わぬプレゼントに、うれしそうなお嬢様。ひな祭りの様子は、公式YouTubeで見ることができますよ。
現代ビジネス – 2024/09/03 13:05