現状に対する見解は? 陸上の日本選手権初日(27日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)、女子1500メートル予選は、津山高2年のドルーリー朱瑛里が4分16秒69で1組6位に入り、28日の決勝に進出した。一躍脚光を浴び、盗撮被害に苦しむ時期もあったが、順調に成長。代理人を務める作花知志弁護士がドルーリーの勇気ある告白がもたらした変化と今後の課題を明かした。
【写真】決勝進出を決めたドルーリ― 計算通りのレース運びだった。予選1組で登場したドルーリーは、序盤から果敢な走りを見せ、決勝進出圏内の組6位を最後までキープした。最後は予選落ちとなる7位との差を見極めながら、余裕を持ってフィニッシュ。「予選からしっかり6番以内に気持ち良く入ることを目標にしていた。しっかり決勝に残れてよかった。調子が良いので、明日につながる走りができたかなと思う」と充実の表情を浮かべた。
ドルーリーは岡山・鶴山中3年時に出場した全国都道府県対抗女子駅伝の3区(3キロ)で区間新記録(9分2秒)を樹立。しかし、その後の大会は過熱する盗撮に「とても不安を感じた」と欠場を余儀なくされたこともあった。それでも、社会に問題提起をしたことで、過熱報道や一部ファンの迷惑行為は減ったという。作花弁護士は「あの頃と比べると今は非常に落ち着いている。私だけじゃなくて、高校の陸上部の先生方や大会を運営なさっている先生方、大会関係者の方々のご尽力のたまものだと思う」と感謝した。
とはいえ、課題も山積みだ。陸上に関する動画はユーチューブなどに多く上がっているが「あんまり言いたくないけど、ちょっとこれは陸上じゃなくて、性的な画だなと思えるものもある」と指摘。その上で「やっぱり空気抵抗なども考えると、競技時は肌を露出した状態じゃないですか。スタンドから遠いかもしれないですけど、高性能のカメラとかで性的な画を撮られてしまうと、優秀な人材がなかなか大会とかに出にくくなる面もあるのでは」と懸念を口にした。
福岡県は今春に性暴力根絶条例を改正。全国で初めて「アスリートの盗撮は性暴力」との見解を示した。しかし、まだ全国には浸透していない。作花弁護士は「国会では盗撮の法律ができた時に、アスリートが対象にならなかった。女性もスポーツに集中できる環境づくりという意味では、やっぱり法律面の整備は足りないと思います」と分析しつつ「ドルーリーさんの例を一つのモデルにして、法律化に関して声を上げてもいいのでは」と訴えた。
競技外の問題をクリアにし、スポーツに集中できる環境整備が今の日本社会に求められている。
東スポWEB – 2024/06/28 05:16