トイレに侵入して複数回女性を盗撮したとして、性的姿態撮影処罰法違反(撮影)などの罪に問われた元枕崎署の巡査部長の男(33)=鹿児島市西谷山4丁目=の判決公判が10日、鹿児島地裁であり、川口洋平裁判官は懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。事件は、野川明輝本部長が隠蔽(いんぺい)を指示したと元県警幹部が主張している一つだが、審理を通して言及はなかった。
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川口裁判官は判決理由で「約9カ月で23回盗撮しており、手口が手慣れていて常習性が認められる」と指摘。当時現職警察官であった点が非難をより厳しくするとした。その上で職を失うなど一定の社会的制裁を受け、判明している被害者の被害回復に努めたことなどから執行猶予を付けた。
判決によると、2023年3月24日から12月15日までの間、県内の女性用トイレに侵入し、スマートフォンを個室の隙間に差し込むなどして同じ女性を計12回撮影した。同年7月14日から12月2日までの間には、商業施設など県内4カ所のトイレで複数の女性を計10回撮影。同年12月23日には県内の屋外の階段で、女性のスカートにスマートフォンを差し入れ撮影した。
事件を巡っては、国家公務員法(守秘義務)違反の罪で起訴された前生活安全部長の男(61)が、6月に鹿児島簡裁であった勾留理由開示手続きで「野川本部長が隠蔽しようとした」と主張。野川本部長は一貫して否定しており、公判では検察側、弁護側双方とも触れなかった。
被告は24年5月13日に逮捕された。6月21日に停職3カ月の懲戒処分を受け、同日依願退職した。
南日本新聞 – 2024/09/10 21:45