鹿児島県警の前生活安全部長が「野川明輝(前)本部長が隠蔽(いんぺい)しようとした」と主張する元枕崎署員の盗撮事件を巡り、県警は23日の定例会見で、捜査主体を署から県警本部に切り替える際の直接証拠の有無について「答えられない」と明言を避けた。野川前本部長は署員の関与が疑われた初動段階で「直接証拠が乏しい。国賠訴訟の懸念もある」との認識を示し、本部長指揮事件にしなかった。
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今月中旬の県議会総務警察委員会で、前首席監察官は「野川前本部長から直接証拠のない段階で本部が捜査し、被疑者扱いすることは不適切ではないかと言われた。署で捜査を続け、犯行を裏付ける直接証拠が出てきた時点で本部長指揮を検討すべきだと指示を受けた」と述べていた。
同日の会見で県警側は「(野川前本部長への報告段階で)証拠は十分ではなかった。署で着実な捜査を進め、結果として県警本部で引き取ることになった」と強調し、切り替えた根拠は示さなかった。
前生安部長を巡っては、警察庁宛てに「不適切な懇親会がある」という趣旨の文書を、前刑事部長の名前を使って送っていたことも分かっている。県警は送付先を非公表とする一方、総務警察委で経緯を説明する際、「当該文書は警察庁が受領した」と答弁。会見で事実関係を問われた西畑知明警務部長は「申し上げることはない」と述べた。
南日本新聞 - 2024/12/24 06:03