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ヘイトスピーチに盗撮、不安定な在留資格。在日クルド人はなぜ迫害を受けるのか 埼玉南部「ワラビスタン」を1日歩いてみた

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 スマートフォンの翻訳機能を通して、日本語とトルコ語でのたどたどしい会話が続く。

【写真】クルド人、なぜ解体の仕事に就いている?肉体労働を支える「クルド飯」を食べながら聞いてみた。始まりは30年前の川口に

 「この子、ビタミン剤を飲ませてもすぐに吐いてしまうんです。心配で」  「粉ミルクをあげてるの? だったら必要なビタミンは入ってるから、ビタミン剤は飲ませなくていいよ」  赤ちゃんを抱いた若いクルド人の母親は安心して、次々とトルコ語で日本人の支援者に質問する。マンションの1室にはクルド人の女性2人と彼女らの幼い子どもたち4人がいた。別の部屋には学校に行っていないのか、男子中学生がスマホに見入っていた。

 女性たちにカメラを向けると、それまでの笑顔が凍り付いた。在日クルド人は日々、盗撮の恐怖におびえているためだ。

 埼玉県南部の川口市、蕨市にはトルコの少数民族クルド人が多く住み、「ワラビスタン」と呼ばれることも。正確な数は不明だが、2千人ほどと言われる。安定した在留資格がない人も多い。

 さらに2023年頃から突然、「出て行け」「犯罪者」などヘイトスピーチや差別デマが増え、路上やインターネット空間にはびこる。盗撮されてSNSに無断でアップされることも問題化。何が起きているのか、ワラビスタンを歩いた。(共同通信ヘイト問題取材班)  ▽事件増えていない

 集住地域と言われるJR蕨駅周辺を歩いても、すぐにクルド人とみられる人に出会うわけではない。中国人など、ほかの在住外国人と比べても少数だ。しかしクルド人による犯罪が増えたとのデマがある。データはどうなのか。

 埼玉県警によると、2023年の国籍別検挙人員はベトナムが417人で最も多く、2位は中国で234人。クルド人を含むと考えられるトルコ国籍は69人で、全体の5・9%だった。

 ある警察幹部は、はっきりとこう言った。

 「SNSなどではクルド人の犯罪が多いと騒がれているが、クルド人に限って凶悪犯が多かったり事件数が増えたという実感はない」  ▽自分にとっての銃はバールだ  「私は羊飼いの一家だったから、夏には羊を連れてみんなで高原に移動し、テント生活に入る。そこにクルドのゲリラが来るんだ。学のある者を仲間として連れて行くためにね」  「次の日には、ジャンダルマ(トルコ憲兵)がテントにやってきて、ゲリラと交流しただろうと言ってテントを破壊し、大人を殴るんだ」

47NEWS – 2025/03/07 09:02


 

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