警察庁の発表によると、盗撮の検挙件数は年々増加しており、2022年は5737件だったのが、新たに「撮影罪」が施行された23年には6933件と約1200件も増えた。その中でも駅構内の犯行の割合が高く、被害が多い駅が存在する。人の流れが多く盗撮犯が紛れやすいことがひとつの要因ではあるが、他にも原因があるのではないか。犯罪心理に詳しい専門家と、被害が多いとされる駅を歩いた。
【写真】盗撮件数が多いJRの駅 * * * 千葉県の西船橋駅。JR、東京メトロ、東葉高速鉄道の3社5路線が乗り入れているターミナル駅だ。
JR東日本が公表している「各駅の乗車人員」の23年度版によると、西船橋は1日平均12万5955人でエリア内18位。千葉県内では1位となっている。
盗撮被害が多いことは過去にも報じられており、警察の捜査を特集したテレビ番組で盗撮犯逮捕の瞬間が放送されたこともある。千葉県警によると、2022、23年には20件超の盗撮被害が発生。中でもJR武蔵野線のエスカレーターで多発しており、23年11月にはエスカレーターに盗撮抑止のためのミラーが取り付けられた。「その前段の対策として、巨大な目のポスターを壁にたくさん張るなどした」(同県警)という。
なぜ、この駅で被害が多発しているのか。東京未来大学教授で犯罪心理学者の出口保行さんと駅を歩いてみた。
「人の流れが多いうえに、駅の構内が、明らかに盗撮をしやすい構造になっていますよね」 駅の構内を少し歩くと、出口さんはそう感想を口にした。
「犯人は、盗撮しやすいだけではなく、確実に逃げられる構造の駅を狙います。そうした駅で被害が多発するのです」(出口さん) まず目を付けたのは、抑止ミラーが取り付けられたJR武蔵野線のホームに上がるエスカレーターだ。同駅の改札は2階にあるが、JR武蔵野線のホームは3階にある。
「エスカレーターが長く、さらに速度もゆっくりなため、スマホに見入ってしまう女性が多いと考えられます。スマホに集中してスキができやすいので、犯人にとっては狙いやすい場所になります」 とエスカレーターに乗りながら、出口さんは指摘した。
この点については千葉県警も、「武蔵野線のエスカレーターは17メートルで、(同駅の)総武線の13メートルと比べても長い」ことを狙われやすい理由としてあげている。
AERA dot. - 2024/10/07 07:32