みどりの窓口の廃止問題で、鉄道会社への批判が多く寄せられている。しかし、現場で働く鉄道会社の社員もまた、苦労が絶えない。すぐに窓口でキレる高齢者や酔っ払いへの対応は連日のようにあり、それだけでも精神的にも肉体的にも疲弊するというが、「とりわけ鉄道ファン(オタク)に悩まされている」と話す社員は多いのである。
【写真】鉄道ファンの間でも人気の高いJR男鹿線
デイリー新潮編集部には、鉄道会社の現役職員から様々な意見が寄せられており、鉄道ファンに手を焼いている社員が想像以上に目立つ。ある鉄道会社の社員が打ち明ける。
「件数としては酔っ払いの対応より少ないけれど、“鉄道会社の社員なのにそんなこともわからないのか”と、理屈っぽくいろいろなことを言われるので、ドッと疲れてしまう」 もちろん、「多くの鉄道ファンのみなさんはマナーを守っています。しかし、一部のファンの過激なマナー違反がとにかく目立つ」と、社員は語る。果たして、その実態はどのようなものなのか。現役社員から寄せられた、にわかには信じ難い鉄道オタクの言動の数々を紹介しよう。
通勤電車やローカル線に乗っていると、運転台の後ろに張り付き、運転の様子を見ている鉄道ファンがいる。実は、これをプレッシャーに感じる運転士は少なくないのだという。現役の運転士A氏がこう語る。
「子どもが運転の様子を楽しんで見てくれるのは、歓迎なんですよ。ただ、なかには動画を撮影したり、背後から凄まじいオーラを放ちながらこちらを凝視する鉄道ファンがいます。“後ろから見ているくらい別に良いでしょ”とか、“景色が見えなくなるから遮光カーテンを降ろさないでほしい”といった意見をネットで見ますが、よほど神経が太い人でない限り視線は気になりますよ」 運転士は、「運転の妨げになるのでやめてほしい」「特に、トンネルに入った時、窓ガラスの反射で見られているのがわかると、めちゃくちゃ気が散ります」と話す。運転風景を見られたくない運転士は、夜間には運転台の後ろと横の遮光カーテンを両方下ろし、夜行バスのような状態にしているそうだ。それほど、視線はプレッシャーに感じるし、仕事の邪魔になるのだと、理解してほしいそうである。
「運転中にフラッシュを使って写真を撮られると目がくらみますし、安全運転の妨げになるので本当に困ります。ファンのみなさんの手にはカメラしか握られていませんが、運転士の手には何百人もの命を預かって運転しています。そのことをどうかご理解いただけると助かります」
デイリー新潮 – 2024/06/21 11:10