在日シンガポール大使館の元参事官の男性が、今年2月、東京都港区の銭湯で盗撮をしたとして書類送検されていた事件。6月13日、東京簡易裁判所が検察の略式起訴を受け、この男性に対して罰金30万円の略式命令を出していたことを各社が報じた。
【画像】世帯月収の中央値が100万円を超える裕福な国だが… 外交上の特権として「不逮捕特権」が与えられる外交官が、在任中の不正行為をめぐり警察の捜査に応じたのは異例のことだ。いったい何が起きていたのか――。この事件について報じた「 週刊文春 」の記事を再公開する。(初出:「週刊文春」5月16日号/年齢・肩書きは当時のまま) ◆◆◆ 2月27日の午後8時過ぎ、東京都港区にある銭湯。
混み合う男性脱衣所で不審な動作を見せる身長170センチほどのずんぐりした中年男の姿があった。初めての客ではない。
番台の従業員は、この男を以前から怪しいと感じ、入店時から密かに注意を払っていた。すると中年男の持つスマホの画面に、脱衣所の裸の男性客らが映し出されている。盗撮だった。
「従業員はすぐさま110番通報。同時に脱衣所に設けられた防犯カメラも盗撮する様子を捉えていました。中年男は13歳の中学生の少年を隠し撮りしていたのです」(捜査関係者) 通報を受けて10名ほどの警察官が銭湯に到着。すると中年男は、最初は平謝りした上で、逃げられないと観念すると、「自分は外交官だ」と名乗ったという。男は同区内のシンガポール大使館に勤務する総務・領事担当の参事官(55)だった。
「参事官は警察署への任意同行の求めには応じず、銭湯の施設内で聴取を受けた。この銭湯だけでも5回ほど盗撮したことがあるとのことで、『なぜこんなことをしてしまったのかわからない』と弁明。スマホには、さきほど撮影した少年の動画のほか、盗撮したものを含む約700枚の写真がありましたが、参事官はこの場で全て消去。警察へのスマホ提出も拒みました」(同前) 本来、性的姿態撮影等処罰法違反の罪などに問われる事案だが、外交官には逮捕や裁判が原則免除される「不逮捕特権」があるため、参事官は逮捕されることはなかった。
文春オンライン – 2024/06/14 13:42