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盗撮速報

鏡があると、ついのぞき込んでしまう心理を利用して盗撮を防止…利用者は「背後が気になってスカートを押さえていたこともある」

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 鏡があると、ついのぞき込んでしまう――。そんな心理を利用して盗撮を防ごうと、駅のエスカレーターに鏡を取り付ける動きが広がっている。利用者は背後の動きを警戒でき、盗撮犯に「見られている」という意識を持たせる狙いがある。設置後は背後を気にする人が増えたとの実験結果もあり、被害抑止に期待が高まっている。(神戸総局 岡さくら、京都総局 下林瑛典) 【盗撮防止用の鏡の写真】後方の人も映っている

 1日約11万人が利用するJR三ノ宮駅(神戸市中央区)。改札口からホームに向かうエスカレーターの壁には、普通の鏡よりも広範囲が映る特殊な鏡が取り付けられている。隣には「警戒中」という文字と目のイラストが描かれたポスターも掲示されている。

 鏡は、エスカレーターを利用中に視線を横に向けると背後に立つ人の姿まで見えるのが特徴で、兵庫県警が2024年10月に設置した。駅を利用する県立芦屋高2年の女子生徒(17)は「背後が気になってスカートを押さえていたこともある。身だしなみを整えるついでに一目で確認できるので助かる」と話す。

 三ノ宮駅ではエスカレーターでの盗撮被害が相次ぐ。24年6月には、エスカレーターに乗っていた制服姿の女子高生のスカートにスマートフォンを差し込んで撮影したとして、男が逮捕される事件が起きた。県警は「エスカレーターは利用者が立ち止まっていて、前の人との間隔も保ちやすく、盗撮しやすい条件がそろっている」と指摘する。

 鏡の設置から3か月が過ぎたが、三ノ宮駅の2か所のエスカレーターでは現時点で盗撮の被害申告はなく、県警は抑止効果が出ているとみている。

 県警生活安全企画課は「盗撮は被害者が気が付かないことも多い。鏡で警戒しやすい環境を整え、被害が疑われる場合はためらわずに通報するよう周知したい」とする。

 全国に先駆けて鏡の設置を始めたのは大阪府警だった。管内にJR大阪駅などがあり、府内でも盗撮の認知件数が多い曽根崎署は23年3月、警察庁科学警察研究所の協力を得て、同駅付近のエスカレーターの壁にA4サイズの鏡を設置し、効果を調べる実証実験を行った。エスカレーターに乗って横や背後を気にした人の割合を設置前と設置後の30分間で比べたところ、設置前の4・3%に比べ、設置後は10倍の40%に増えた。

読売新聞オンライン – 2025/02/07 15:17


 

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