シリアで長年、独裁体制を敷いていたアサド前大統領の弟、マーヘル・アサド氏は、政府軍の司令官として拷問や処刑などに携わってきたとされる。首都ダマスカス南部にあるマーヘル氏の部隊の司令部を14日に訪ねると、中には多くの書類が残され、慌ただしく撤退した様子がうかがえた。
【現地の写真】司令部にあった破壊された肖像画やプーチン露大統領の写真 庁舎に入ると、執務室の床には割れたワインボトルやウイスキーの空き箱が散らばっていた。貴金属が入っていたとみられる小袋も大量に落ちている。「おそらく賄賂としてもらっていたのではないか」。同行した地元記者がつぶやいた。
執務室の机には、通信傍受の記録とみられる紙もあり、男女がメッセージアプリで交わした会話が印字されていた。上階にはマーヘル氏の若いころの写真を収めたアルバムもあった。
反体制派の戦闘員によると、政府軍は8日、ここで反体制派と数時間にわたり交戦したが、その後は撤退した。マーヘル氏は当時、司令部にはいなかったという。【ダマスカス金子淳】
毎日新聞 - 2024/12/15 09:07