盗撮の罪に問われた元鹿児島県警の巡査部長の被告男(33)は21日の初公判で、終始うつむきながら低く小さな声で話した。「子供は大切な存在」「同僚に迷惑をかけた」-。淡々と質問に答えながらも、家族と警察職務について問われると、声を震わせた。
【写真】盗撮事件の流れが一目で分かる経過表
短髪で、黒縁眼鏡に白い半袖シャツ、マスク姿で現れた被告。人定質問の返答は弱々しかった。裁判官が「緊張しているだろうが、きちんと前を向いて、はっきりした声で、私に答えてください」と伝えると少し顔を上げた。
法廷には父親と兄が出廷した。「親不孝にも関わらず心配してくれる。留置場に面会に来てもらい、本当に申し訳なく思ったのと同時に、ありがたく感じた」と涙ぐんだ。
逮捕後、2人目の子供が生まれた。一度だけ会ったという。スマートフォンのレンズには子供の写真を貼り付け、剝がさないと撮れないようにしている。妻の「出産と逮捕の不安が重なり、どうしていいのか分からなかったが、味方したい」との陳述書が読み上げられると、大きく肩で息を吸い、深くうつむいた。
仕事にはやりがいを感じていたという。「市民の安全と安心を守る誇り高い職業。自業自得だが、このような形で去ることに後悔しかない」とうなだれた。
裁判が進むほど声はか細くなった。最後に立った証言台では、裁判官をまっすぐ見つめ、「二度と同じ過ちはしない」と微動だにせず述べた。
南日本新聞 – 2024/08/22 11:57