広島県教委は8日、教職員の懲戒処分の指針を改正し、新たに児童生徒への暴言などの「不適切な指導」を盛り込むと発表した。教職員による度を越した叱責(しっせき)で子どもが死に追い込まれる「指導死」を防ぐ狙い。来年1月1日に施行する。
不適切指導は、児童生徒に対し「人格や人権をおとしめる言動など教育上必要な範囲を逸脱した指導」と定義。文部科学省が例示する「物を投げるなど威圧的な言動」などを想定しており、態様の悪質性や行為の常習性を考慮した上で停職か減給、戒告とする。
全国で教職員の指導を背景に児童生徒が自ら命を絶つ「指導死」が問題となる中、文科省は2023年、都道府県教委に不適切指導を処分基準に盛り込むよう通知した。中国地方5県では、山口が「暴言などの不適切な言動」を明記。岡山も「暴言、侮蔑的な言動」と記載している。広島、島根、鳥取は明文化していなかった。
今回の広島県教委の指針改正ではこのほか、盗撮や盗撮目的でカメラを構える準備行為も免職または停職の対象として明記した。これまで児童生徒への盗撮は「性暴力等」の事例として記載していたが、教職員が市民を狙った盗撮の規定はなく「わいせつな行為」として、総合的に判断して処分していた。
この日、篠田智志教育長が県庁で記者会見して発表した。不適切指導については、文科省の通知や県内で起きた指導死事案を踏まえて規定したと説明。県内では教職員による盗撮行為も相次いでおり、篠田教育長は「指針に明記することで抑止効果を狙う」と述べた。
中国新聞デジタル - 2024/11/09 07:02